「○○と言えば□□」というように想い起してもらい、選ばれる状態になればブランドと言えます。
とは言っても最初からそういう状態が出来るわけではありません。
消費者、生活者が貴社、或いは貴社商品サービスと何らかの接触があるまでは、存在を知りません。ブランドに対するイメージが全くない段階です。
まだ、ブランドと呼ぶには程遠い状態です。
これが、貴社、或いは貴社商品サービスと接触を持つとどうなるか?
消費者、生活者にとって初めての接触になる訳ですから、状況によって、とても良い印象を持つ人もいれば、嫌悪感を持つ人も出て来ます。また、何の印象も残らない人もいます。
初めての接触は、状況により様々なイメージを与えます。これがブランディングの第一歩となります。ブランドが生まれる瞬間です。
しかし、ブランドの状態としては最低の状態です。
その名前なら聞いた事があるけど、何だっけ?とか、それなら見たことがあるような気がする、というレベルです。本当のブランドになるには、この状態のままではダメです。
少なくとも、企業名や商品サービス名を見たり聞いたりした時に、「○○をやっている会社だよね」とか「あの商品は△△だよね」という、何となくイメージ出来るレベルまで知られなければブランドと呼べる状態にあるとは言えません。
身近な例でブランドの状態のお話をします。
例えば、東京の人に「北海道」と「鳥取」のどちらに旅行に行きたいかをたずねたとします。おそらく圧倒的に「北海道」が選ばれるだろうと思います。
ここで考えて頂きたいのは、東京の人が「鳥取」を全く知らないのかという事です。
47都道府県の一つですから、知らない人はいないと思いますが、名前は知っていても、観光地としては選ばれないという事です。
「鳥取」でイメージされるものと言えば、「砂丘」以外ほぼありません。中国地方最高峰の「大山」(ダイセン)、県内各地に点在する温泉、冬の味覚松葉ガニ等の豊かな自然と食べ物。
観光地としての資源は十分あるのですが、何故か選ばれない。
それでは「北海道」はどうでしょうか?
「北海道」でイメージされるものと言えば、ラベンダーの咲き誇る「広大な大地」、世界遺産の知床等の「豊かな自然」、札幌ラーメン、ジンギスカン等の「おいしい食べ物」、数多くあります。
そして、デパート等で催される「北海道物産展」は、いつも大盛況。
この事から考えられるのは、イメージ出来ないものは選ばれないという事です。
つまり、いくら名前だけ知られて有名であっても、イメージが浮かばなければ選ばれる事はないという事です。知名度を上げる事はもちろん必要なのですが、それだけではブランドとして成立しないのです。
それでは、知名度の他に何があればいいのか?
それは認知度です。商品サービスの持つ強み、ライバルとの差別化、独自性等と呼べるものが、消費者、生活者にどれだけ伝わっているかという事です。
簡単に言えば、名前以外の事が、どれだけ伝わり理解されているのかという事になります。
先程の「鳥取」と「北海道」で考えてみましょう。
「北海道」は一年を通じ、メディアに取り上げられる事も多く、テレビ、雑誌等から様々な情報がもたらされています。ですから、東京の人の北海道についての認知度は高いと考えられます。
一方、「鳥取」は、どうでしょうか?
数年前に鳥取県知事の「スタバはないけど、砂場はある」と自虐的なダジャレPR発言をお聞きになった方もいらっしゃるのではないかと思います。この他、砂丘以外で「鳥取」に対する一般的な知識としては「日本一人口の少ない県」という事位ではないかと思います。
このように名前は知られていても、圧倒的に情報や知識が不足していると、イメージとして浮かべる事が出来ません。
ですから旅行先として選ばれる確率は低く、「砂丘」以外の観光地は、「水木しげるロード」程度しかイメージされないと考えられます。
この事から、名前が知られているだけでは、選ばれる事は皆無に近いという事がおわかりになるはずです。
ブランドは、知名度だけでなく、認知度がとても重要だという事を覚えておいて下さい。
ブランドの何となく知っている、何となくイメージ出来るレベルから一歩進むと、気に入っているので選ばれる状態になります。
何となく知っている状態だと、余り興味は持たれていませんが、このレベルになると、進んで選択されるようになります。
何となく好きから「これが好き」という状態です。
そして最高の状態は、「これでなければダメ」という事になります。
例え競合があっても、比較なんてせず、一択という事になります。
ブランドとして目指すのは、この状態です。
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